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Fig 1. 損傷部の MRI 画像(左側)と CT の 3D 化画像(右側)。( DICOMファイル提供:一宮市民病院 )
Th 5 / 8 / 9 /10 骨折(胸椎の 5番、8番、9番、10番が白く映っている。特に9番は1/2以下に潰れさらに、後方に突出し脊髄まで数ミリ)
Th 5,8,10 = 圧迫骨折, Th 9 = 破裂骨折によって脊椎が後方湾曲している。(猫背がさらに湾曲し超猫背化)
Fig 2a. 腰椎の骨密度測定(D217骨塩定量検査 DEXA法 = 360点:江南厚生病院)。
BMD(Bone Mineral Density = 骨密度)は、YAM(若年成人の平均値:20歳~40歳)の80%(79~80%)。
骨粗鬆症(70%以下)ではないが、骨量減少といわれる骨減少症は70%~80%なので、TAMと骨減少症の境界値である。
同年齢比較では83%なので17%低い。
骨密度の低値化には、喫煙やアルコール・カフェインの摂りすぎや運動不足・ストレスなどの生活習慣や、背が低い・やせているや遺伝的問題などの体型・体質・病気が挙げられ、この脊椎の骨密度の低下傾向はストレスやスマート体型などが原因であろう。
Fig 2b. 左大腿骨の骨密度測定(DEXA法:江南厚生病院)。
BMDは、YAM(若年成人の平均値:20歳~40歳)の91%(全体)。
同年齢比較では99%なので平均値といえる。
Fig 2c. ディスクに入った DICOM ファイルを MacBook の OsiriX で読み込み、その後 iPad2 と iPod のアプリ Osirix HD へ Dicomファイルを転送し CT & MRI 画像のモバイル化。
iPad2 の2画面表示は、左右の画像が連動しており、診たい部位(左)の断面が表示(右)される(図中のオレンジラインが対照軸)。
Fig 2d. MRI - T2 & T2 強調画像:第5胸椎から第12胸椎までの脊髄の状態。拡大画像内右端の【>】クリックで、12枚閲覧可能( 2012/3/7:画像提供 = 江南厚生病院)
Th 5(第5胸椎)~Th 12(第12胸椎)間の脊髄の状態を OsiriX にて各部位にて表示すると明らかに Th 9 の縦断面(左図)からは、骨は、後縦靭帯を押して硬膜外腔に侵入し、脊髄の数ミリ手前まで及んでいる。Th 9 の横断面(右図)は、脊髄(黒い中心の円)の周囲にある硬膜外腔(白いドーナツ状)の状態は他の部位とは異なり、硬膜外腔は不明慮で、突出した骨片が中央右側から脊髄に刺さっているように診える。
Fig 2e. MRI - T1 & T1 強調画像:第9胸椎付近の拡大。拡大画像内右端の【>】クリックで、7枚閲覧可能( 2012/3/5:画像提供 = 一宮市民病院)
Fig 2f. MRI - T2 & T1 強調画像:第9胸椎付近の拡大。拡大画像内右端の【>】クリックで、7枚閲覧可能( 2012/3/5:画像提供 = 一宮市民病院)
Fig 3a 左. 転院時のCT画像
(2013/03/07) Th11( 第11胸椎 )の位置を基準に青ラインが 高位。黄色ラインの縦隔縁の変位が大。( DAICOMファイル提供:江南厚生病院 )
Fig 3a 中. キャンセルオペ直前のCT画像
(2013/03/13) Th11( 第11胸椎 )の位置を基準に青ラインが 中位。黄色ラインの縦隔縁の変位が中。 ( DAICOMファイル提供:江南厚生病院 )
Fig 3a 右. 本オペ前のCT画像
(2013/03/18) Th11( 第11胸椎 )の位置を基準に青ラインが 高位。黄色ラインの縦隔縁の変位が小。 ( DICOMファイル提供:江南厚生病院 )
Fig 3b 左. 転院前のCT画像
(2013/03/05) 左右の肺(黒い部分)のうち画面向かって左側の肺(患者右側)の一部に血液が溜まっている( DAICOMファイル提供:一宮市民病院 )
Fig 3b 中. 転院11日後のCT画像
(2013/03/18) 左図にあった白い部分は消えている。(DAICOMファイル提供:江南厚生病院)
なお、CT動画はココの別サイト(Safari 5・6、Internet Explorer8 動作確認。IE 10は不可 ) ( 次の、Fig4 の画像にても、黒い部分の肺の下部の位置は、明らかに異なり、術前 3/7 と術後 4/11 で肺の容積差がかなりあると思われる )
Fig 3b 右. 損傷約10週前のCT画像
(2012/12/25) たまたま、前年末に受けた内臓の検査時のCT画像 (DICOMファイル提供:稲垣医院)
* 通常通り、オペの前には手術説明書・同意書
といった事務手続きがあり、同意書へのサインが必須である。手術説明書には、医学専門用語が並んだ文章となっているが、要は“手術に伴う死亡や障害が残ることもあるョ!”ということである。(モンスターペイシェント へのリスク回避:医療訴訟対策 でもあろう)
なので、半世紀に渡るさまざまな褒められない行動や親不孝を反省し、最後ぐらいは“人のため”と、臓器提供意思登録カード
を病室のTV台の上に置き、もしもの事態にスムーズに臓器提供できるように備えた。
そのカードを見た看護師の1人は「患者さんが、臓器を選ぶかもしれませんョ!」と、臓器提供といった事態の可能性(オペによる脳死等)を否定し、オペは成功しますよ!と、安心するようにジョークで表現してくれたのだ。
臓器提供意思表示は、以前より表示しており「臓器提供意思登録カード」「自動車運転免許証」「健康保険書」
の3ヶ所だ。
Fig 4a,b. 術前・術後の比較。DICOMファイル提供:江南厚生病院。主治医:Dr S
Pedicle Screw & Rod にて約50年間の猫背が矯正され、オペ後は正しい姿勢となる。約30年間デンタルインプラントの補綴臨床に携わり、拙いなりにインプラントに関する原稿の執筆や講演を行ってきたが、まさか自分自身がインプラントが必要となり埋入(刺入)するとは・・・。
まあ、インプラント治療の医療従事者が、自身の脊椎にて『インプラントの有効性』と『 インプラントの安全性 』を証明した!ってとこかな。
Fig 5. オペ直後 のPedicle Screw & Rod による Spinal Instrumentation のX線画像(5a) とその拡大 (5b) ならびに各脊椎の断層画像 (5c)。( 画像提供:江南厚生病院 )
14本の Pedicle Screw と 25cmx2本の Rod の単純X線画像による左側方面観(左側)&後方面観(右側)。Th 9 (胸椎9番)
にはインプラントは刺入されていない。
なお CTの3D化した動画はココの別サイト(Safari 5・6、Internet Explorer8 動作確認。IE 10は不可。)
今回使用した Pedicle Screw は、
CD HORIZONR LEGACY 5.5 Spinal System
という Medtronic 社製の胸椎用のInstrument。
胸椎 5 番 ~ 12 番の固定用 Ti 製の Rod は、COLORADO 2 Spinal System で、
平行する2本の Ti 製棒間を連結するクロスリンクデバイスは、CD HORIZONR X10 CROSSLINKR Plate System です。
Pedicle Screw がどんな構造なのかを理解するには、このサイト内にて、⇒ 部へのクリック操作で 360°閲覧可能が便利。
もしくは、、このサイト内の2ページ目にある図が良いかも?
Fig 5d. オペ後の Pedicle Screw の第5胸椎の断層画像 ( 画像提供:江南厚生病院 ) から、左側の画像の Screw 右横に白いX像が確認できる(赤丸枠内)。
これは、最初のパイロット・ドリリング(下穴あけ)の位置&方向が不適切であったため、この位置&方向のままで、さらに直径の大きい Pedicle Screw をねじ込むと、内側に存在する脊髄への進入&破損の危険性がある為、結果、やや左側にずらして Screw ON したとみられ、最初に開けてしまった穴の空洞を骨充填剤であるハイドロキシアパタイト等で穴埋めした痕と考えられる。
Fig 6. オペ後の背中。
オペで切開した皮膚は
皮膚表面接着剤
によるBonding。従来のような「ステープラ」や「ナイロン糸」の様な痕は無い。
脊椎損傷の関してはこのサイトが分かりやすい。
オペの手技シュミレーションに関してはこのサイト内の動画が良いかも。
Fig 7・8. 偶然&手違い?で内定が決まり、4月からの勤務(
証券保管振替機構
=
“ほふり”
)に備え2月から上京していた息子が、2013年3月25日の卒業式の為に帰省し、ついでに見舞いに来た。
( 備考1:2012年”ほふり”の採用倍率は約 160倍。ES : エントリーシート約800名 → 1次面接200名→最終面接10名 → 5人採用。最終面接10名中に居た最高教育機関T大学生は全て消えた。)
卒業式で授与された理学部数理学科の学位。
名古屋大学での学位記はなんと、日本語と英語の 2パターン。グローバル化への対応なのか?
同じ
『グローバル30』 の
早稲田の学位 は日本語のみだった。国立大学に先を越される私立の早稲田大学。
Fig 9. オペ後に石膏で型採をし、完成したコルセット。
コルセットは3ケ月間&24時間着用。こんなの付けて熟睡は不可能。
特に体型への適合性は最悪! 退院後に自分の Labo で大幅修正&調整して大改造。
このコルセットの代金は約10万円(中2日で製作)。月曜日PMに型採りで、木曜日の午後装着。
余談であるが、オペ費用の保険点数は約 277,000 点 = 277万円 の請求だった(麻酔費用は含まない)
そして、今回の怪我で総額約 400万円 の治療費であった。(高額医療費の自己負担限度額の申請によって実際に払った金額は1/10程度ではあるが、痛い痛い出費であった)
すでに約3週間の寝たきり(ギャッジアップ 30°まで)(ジャッキアップではない。Dr.Willis D Gatch が背上げタイプのベットを発明し、その名前のギャッジからヘッドアップ≒ギャッジアップと言われている)生活。通常、2週間寝たままの状態が続くと離床後の起立はすんなりいかないらしい。
現に、隣の20代前半のスポーツ青年は、怪我で(スノボーのパイプにて腰椎強打)寝たきり2週間後の離床であったが、70°が限界(補助機使用)。90°の起立には4日必要だった。その後、歩行器を使用して歩行訓練に励んでいた。
周りからは『年齢からいっても、3週間以上からの離床では立てないのはあたりまえ。だから、立てない自分の現実から、落ち込まないでね!』と“ 覚悟しろ! ”の助言を、複数の看護師さんと理学療法士さんからもらっていた。
しかし、コルセット装着直後すぐに、“ひょい!”と立てた。しかも、歩行(歩行器や杖は無し)ができ、すたすたと病室内を散歩し、続いてフロアーデビューをしたため、看護師さんはびっくりしていた。(親父パワーをなめてはいけませんョ。多分、体重が軽いからすぐに歩けたのんでは?)
立てたその日から退院までの地獄のリハビリは、衰えた筋力の回復。自称『虎の穴リハビリ』と命名し、一日も早い退院を目指し死ぬ気で挑んだ。その結果、数日間で5階分の階段の昇降をクリアーし、最速退院となった。
Fig 10. 退院の直前に主治医の先生にお願いして書いて頂きました。社会復帰後の世間は厳しいと予想されるが、この応援メッセージを見て頑張ろう!
Fig 11. 歯科におけるオッセオインテグレーション( Osseointegration = チタンと骨が光学顕微鏡レベルで直接的に一体化した状態 )による固定力の推移表。
この表からは、スクリューによる機械的な初期固定力が低下する術後3週目の時点は、オッセオインテグレーションによる固定力が向上する時期でもあるが、この3週目前後のインプラント体の安定が、その後の固定性を大きく左右すると考えられる。
オペ後3週目といえば、退院日。退院後の日常生活&社会復帰におけるインプラント部への負荷は極力避けるべきということになる。
Fig 12. オペ後、、切開部とは異なる部位での筋肉の痛みが残った。{ 変な小さいシールは、ドレナージ(ドレーン)の穴を塞いだシール }
特に、腕を伸ばして物をとったりシャンプーの際や車のハンドルを回す場合は肩甲骨およびその下部に痛みが走る(損傷部・手術部から離れた部位)。
これは多分、手術(Pedicle Screw 刺入)スペース確保の為の筋肉群の展開・剥離が原因ではないのか?
傍脊柱筋は、浅層にあって脊柱と並行に走る長い筋のグループ(脊柱起立筋群)と、深層にあって脊柱に対し対角線状に走る短い筋のグループからなる。傍脊柱筋の機能は、深層の傍脊柱筋と浅層の傍脊柱筋が協同して脊柱を伸長させる。つまり、何かを拾おうとした後、この部分の筋が収縮することで、再び直立したり後ろに反ったりすることが可能になる。また、左右の筋群が個別にはたらけば、脊柱や体幹を回旋させ、側屈の補助を行う。脊柱起立筋群は、直立姿勢を維持するはたらきをし、立位や座位のときの動作の細かな調整を行う。咳をしたときには呼吸の補助をし、傍脊柱筋全体で重力で腹筋の短縮に退行する働きをするのである。
後方アプローチの手術手技として傍脊柱筋は、皮切後に側方へ剥離展開される。また、僧帽筋 trapezius (中部・下部線維) & 広背筋 Iastissimus dorsi は下記の通り起始は胸椎棘突起である。胸椎棘突起は脊椎の後方(背中)にある中央部の凸部で、後方アプローチのSpinal Instrumentationの場合は胸椎棘突起の左右数センチの領域は Screw の刺入ポイントとなり筋肉等の軟組織は邪魔になると考えられる。
また、Wall(1988年)は「痛みが記憶されないように、痛み刺激の進入前に鎮痛処置をすれば、術後の痛みは抑制される」との考えからの pre-emptive analgesia の概念『先取り鎮痛・先制鎮痛』の必要性があったかも。そもそも、手術も外傷である。
★
僧帽筋 trapezius
★
広背筋 Iastissimus dorsi
Fig 13. 撤去した硬質コルセットの全貌。
6月末、術後3ケ月検診(CT・MRI・単純X線)の結果、硬質コルセットの撤去OKとなった。しかし、今まで鬱陶でしかなかったはずなのに、いざ外すとなると“怖い!”。
コルセットの素材は強化プラスチックなので、知人にはコツコツ叩きながら『刃物で刺されても大丈夫!』とアピールしていたぐら強固で、守られている感があり、かなり頼っていた。
3ケ月間24時間装着していた鎧を外すと丸腰状態。人が近づいてくるだけで背骨がまた“グシャ!”となる気がして、恐怖・不安は10日程続いた。コルセット装着で、腰周辺(腰椎・骨盤)の稼働を固定されていたため、装着中の3ケ月間は背筋・腹筋をあまり使うことはあまりなかった。その影響で、筋力はダウンしたようで(腸腰筋・脊柱起立筋/大殿筋・腹直筋等の筋力が弱まり、骨盤が前・後方にフラフラと倒れやすくなった)、コルセット撤去後に腰痛が生じた。
また、50年近く共にした猫背姿勢が脊椎固定ロッドによって胸椎は屈曲不可能となり、骨盤は意識しないとすぐに後傾になる。本来の正しい姿勢は、自分にとっては違和感でしかないが、理想姿勢に向けてトレーニングあるのみ。
脊椎損傷や脊椎骨折、後遺症をググる(ネット検索)と、術後に痛みやしびれ等の生活・就業の障害が現われる辛い事例が多々ヒットしたことからも、中長期の後遺症との戦いの覚悟は必要である。まさに「もと通りにはならない!上手に一生付き合う!」ことであろう。
Fig 14. 新車のHUMMER。
新車は、損傷部に負荷がかからないような前後サスペンション付きの自転車。折りたたみ式のバイクなので、車に積んで遠出もOK。今まで乗っていた自転車は電動自転車で超楽ちんであったが、100%人力の自転車のペダルは、体力が無いためなのか非常に重~い。やはり、筋トレ、リハビリは必須だ。